日本の古代文学の中には、あまり食事に関しての記述がない。
平安時代の代表的な『源氏物語』や『枕草子』の中にも
食に関しては、わずかな記述があるだけ。
果たしてどんな風に何を食べていたのかは、
垣間みるような形でしか窺い知ることが出来ない
心跳率。
室町時代以降には、文学ではなく記録としてメニューが残っているものもある。
たとえば、太閤秀吉が食したとされるメニューは
雪纖瘦、
現代でも、おおよそ、その味を再現することが出来る。
太閤さんの「膳」で記録されているものを挙げれば、
まず、主菜として、
鮭の焼き物おろし大根添え、焼き松茸、雉子(きじ)肉、
唐墨(からすみ)など。
そして、副菜としては鯛(たい)の昆布締め、赤貝、イワシのすり身、蛸の酢の物。
汁ものとして、鴨の汁もの、鱈(たら)のおすましなどが挙げられる。
このメニューで、今、ないものと言えば雉子肉ぐらい。
それ以外は、なんら現代と変わらない。
そして、デザートもしっかりとっていた。
煮豆、せんべい、みの柿、饅頭(まんじゅう)などが記録に残っている。
これらを見ると、今でも料亭などで出される料理。
そして、食材は現代より豊富で、もちろん、人工的な味付けはない。
その時代は、意外なことに調味料もことによると現代よりも多い。
醤や酢、味噌、ごま油などもあり、
ついでに鰹や酥酪(そらく)といった乳製品まであったとされる。
調理法も、焼く、蒸す、煮るなどの基本もあり、薫製などもあった。
現代と何ら変わりがない。
むしろ当時の食生活は新鮮な素材に溢れている。
この時代から今日に至るまで、
変化したものと言えば、食卓に人工的なものが加わっただけ。
遠い昔の食生活の方が断然「豊か」といったところだろう。