視界が闇に

 心地の良いぬくもりを突然奪われ、そして山の冷たい外気に晒された為。ややゴキゲンナナメだ。
 自慢じゃないが僕は寝相のいい方じゃない。うっかり近づいて噛みつかれないように注意しろ。
……というか、布団どこいった。布団だけにどこかへ吹っ飛dermes 脫毛んだのはわかったが、さっさと取り戻してもう一度ぬくもりに包まれたいんだ。
 体を横にしたまま頭だけを動かし、布団の行方を煩わしそうに探し始める。
「あ……」
 あった、マイ掛布団。僕の体温が十分伝わった布団が、木の枝にひっかかったのか縦にだらんと佇んでいる。――――取り返そうと布団に手を伸ばすと、ふいにガサッっと布団が動いた。
 まだやってたのか。もういいから、さっさと返――――
「おはよう。朝からゴキゲンね……」
 布団の中から現れた魔王が、青筋を立てて寝起きの僕を目が血走る程温かく見守ってくれている。
 何という事だろう。この布団は魔王のマントだったのか。それはすまなかった。今この場でそのマント、魔王様にお返しし――――
「くぉら! 寝ぼけてんのかコラーーーッ!」
「あだだだだ! 違う違う! 違いますって!」
 魔王の粛清を浴びた僕は、痛みで寝ぼけた頭をハッキリと覚醒して頂き、誤解を解くべく魔王様に進言できる申し開きの機会をいただいた。
――――そしてオーマに「まだ寝ぼけてんのか」と一喝され、またもや粛清の危機に瀕するハメになった。
 妙だな。こいつじゃないのか? てっきりこいつが浮かれ気分で引っぺがしたと思ったのに。
 オーマは拳にハァと吐息を浴びせ、殺気の孕んだその手を大きく頭上に掲げた。だから待てよもう、違うっつーに!
「歯ぁくいしばれ!」
「のぉ~~~!」
――――バサッ。と言う音と共に包まれる。
 いや、厳密に言うと所々光が透け、闇と言うよりただ暗いだけだ。
 そして前には拳を掲げたオーマが「ぶわっぷ! 何よこれ~!」と慌てふためいた表情で、その手をぶんぶんと振り回している。なんだ? 一体何が起きた? 
「姉さん! だいじょうぶですかい!?」
「何今の! 布団が襲ってきたわよ!?」
「あっしらも見ましたよ。ちょうど姉さん目がけて落ち詩琳てた布団がいきなり――――


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