先月、ケンのウエディングのために
サンフランシスコへと向かう機上で、
私はアンジェラと出会った。
アンジェラは、マノアとサンフランシスコの両方に家を持ち、
数ヶ月おきに行ったり来たりして過ごしていると言う。
「ハワイが大好きで、亡くなった兄と一緒に家を買ったの。
でも生まれ育ったのがサンフランシスコだから、
やっぱりサンフランシスコの方に帰りたくなるのよ」
最初はiPhoneの使い方の話題で少しだけ会話を交わし、
途中からヒロヨちゃんの話になった時
Cleen、
彼女は「その話、ニュースで聞いたわ!」と息を呑み、
サンフランシスコで結婚するケンの写真を見た時には、
「この子知ってる!私週に3回はニコスで食べるのよ!」と
それはもう満面の笑顔で教えてくれた。
アンジェラはとても心の温かい、やさしいひとだった。
ほんの束の間の出会いだったのに、
まるで古くからの友達のように
中醫深い話をたくさん聞かせてくれた。
「こうやって、見知らぬ人がたくさんいる中で、
それぞれが信じられないような悲しみとか、
苦しみとか、喜びとか、怒りを抱えているのよね」
「私も家やコンドミニアムの窓の灯りを見ると
同じようなことをいつも思うわ。
あの窓のひとつひとつにドラマがあるのよね」
アンジェラは最近兄の突然死を経験し、
私もヒロヨちゃんをいきなり失ったばかりで、
ふたりともまだフレッシュな生傷をヒリヒリさせながら、
だけど絶望していたわけではなく、
これからの人生を、大事に生きて行こうね、と話し合い、
サンフランシスコのエアポートで、
ちょっと寂しさを感じつつも、笑顔で別れた。
その次の週、ヒロヨちゃんのお葬式に間に合うように、
アンジェラからお悔やみのカードが届いた。
どんなに悲しみは深くても、
人生はやっぱり美しいと、私は思う。
そしてすべての出会いに、改めて感謝せずにはいられない。
世の中には、素敵なひとがなんてたくさんいるのだろう。